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木を燃料にすること

by 沓澤 優子

運営しているでは薪ボイラーというものを採用している。
薪でお湯を沸かしてタンクに貯め、そのお湯に間接的に水を通して店内の床暖房や食器洗いなどの給湯に使用していて、冬の室内のおだやかな暖かさはお客様にも好評だ。

オープンは2014年。
今よりはもっと東日本大震災の傷が、当事者以外の私たちの胸にも刺さっていたと思うが、石の上にも三年の慣性によって原発反対の意見は経済に押し戻されつつある状況だったように思う。バイオマス燃料をはじめとするクリーンエネルギーについても「現実的でない」という作為的なムードがあった。

確かに、世の中の人みんなが薪で暖を取ったら山々はたちどころにハゲ山になる。
でも伐採や間伐で処分される木を燃料として使うのであれば、拾う根気のある人には三方良しのとても現実的な選択肢だと思う。何より火には使う楽しみがある。

電気の使用量を最小値にしてやろうではないの。

この意気込みだけで薪を主燃料にすること。
これはこの湯沢市岩崎地区でカフェの運営を試みるのと同じくらいの冒険だった。

人に無理だと言われても、挑戦したいことには出来るだけの準備をしてまずはやってみる。

手を貸してくれているスタッフや、横のつながりでどこからともなく廃材を集め、薪にしてくれている父、引き受けてくれる設計会社さんがあるからこその挑戦だ。
冒険は生きて帰るから冒険なんだそうで(そうでなければたたの無謀)、今のところシステムは稼働し続け、「コンクリートから人へ」的なランニングコストのシフトは成功していると思う。

スイッチポンの機械とはちょっと違い、こちらの薪の投入間隔が悪かったり、薪のコンディションが悪かったりすると、翌日あたりに「あれ、なんかいつもより寒い?」ということになる。
ご迷惑をおかけしていたら申し訳ありません。

最近はスタッフも手慣れたもので薪マスターとなり、私の出番はストレス解消のきまぐれな薪割りや、休み中の代打程度となっている(休みの日も温度保持のために焚く)。

楽しい投資話を聞かせてくれるガス屋さんと世間話をしていたら、どうやら近くに同じ型の薪ボイラーを使っている人があるらしい。ガスボイラーを入れたけど、やっぱりお風呂のお湯は薪が温まるとのことで入れ替えたとか。
今、暮らしで一番エネルギーを消費しているのは間違いなく給湯だ。
いいなぁ。家のお風呂も薪ボイラーにしたいなぁ。

少し暇ができると、風呂の排水で融雪できないのだろうか…などと次の冒険の支度が巡回しはじめる脳内。
そんな私の周囲にあるのが、この先も冷たい目線でないことを、静かに祈りつつ…。






沓澤 優子
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