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寝室は南向きがおすすめの理由

by 沓澤 優子

秋田県内の住宅実例を紹介する住宅雑誌を10年以上発行している。
出版不況の中、発刊のモチベーションは純粋に建築に携わる人への敬意だと思っている。
短大進学後、畑違いの店舗や住宅の設計を志して転職。
キャリアを積む間もなく結婚・出産が重なって専業主婦になった。
子どもの幼稚園入園を契機に秋田へUターンし、憧れを捨てきれずに無謀にもセルフビルドの家づくりを選択した。いわば手づくりの我が家は今もとても気に入っているけれど、「Do it yourself」の精神と「餅は餅屋」という現実の間で学んだことは多かった。
携わる人々への敬意はこのときの経験から生まれたのだと思う。
寒いし暑いし重いし細かいし、とにかく大変な仕事だ。
「でも」なのか「だから」なのか、どの工事もプロが丹精込めた出来栄えには美しさがある。
渾身の仕事を取材という名目で拝見する機会があることは、この上ない仕合せ。

「今は建築素人ってわけではないのです」をお伝えするための前置きが長かったけど、本題に入りますね。

およそ20年前、当時ほぼ素人の私が決めた自宅の設計コンセプトは以下の通り。

 ・素材は偽物じゃないもの
 ・景色を楽しむ2階ワンフロアの暮らし
 ・冷房なしで暮らす窓の配置
 ・薪ストーブの全館暖房

この結果、寝室が2階の南面になりました。

月を見るために寝室の窓を大きめに取ったので日当たり抜群。
必然的に窓辺のベットには日中長時間、燦々と日が差し込んでいます。
都会ではマンションの規約やPM2.5の懸念から布団干しなどもってのほか、な今。
陽に当てたお布団は、もはや田舎の特権といっても言い過ぎではない。
しかし、家族分の布団を窓から投げ出すのは家事の中でも上位を競う重労働です。
それがなんと。
南側の寝室なら干す手間も不要で毎日お日様の香りの恩恵に浴せてしまうのです。
毎日勝手にフカフカ。これはほんとに棚ぼたでした。

ちなみに寝室にカーテンはありません。
寝室どころか家のどこにも、カーテンはありません。
そういえば東京と仙台から遊びに来た夫妻+友人が、我が家のリビングに川の字で眠り、
カーテンのない部屋で自然光で目覚める心地よさに感激して帰りました。

夜勤でない方なら、
そしてプライバシーの許す環境なら、
カーテンなしの南側主寝室にぜひトライしてみてください。

ちなみに私はプライバシーに許されなくても気にしないという手法を取っております。
弱点は窓を開けて出かけてしまった時のゲリラ豪雨のみ。(しばらくは床の上に寝ることになりますね。)

家は人間という生き物の周囲にあって、意識や行動に作用する「環境」。
外界を感知する五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が心地よいと感じるものを選べば、
自ずとその「環境」は中の生き物に最良のコンディションを与えるのではないか。

よく言われるが、衣服のように、良い家に必要なのは心地よいと感じる素材と仕立てなのだと思う。

とにもかくにも、南側の寝室は、すごくすごくおすすめです。


沓澤 優子
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